不動産会社様、浴室、洗面所などにおける周波数別音圧レベル測定と周波数分析による、騒音発生源の方向推定

1.報告概要

○○○○不動産株式会社様のご依頼により、周波数解析用騒音計による調査を行い、解析値から騒音発生源の方向推定及び発生源の予測を行なった。

2.測定条件

測定日時
平成○○○○日13時~16時
測定場所
神奈川県横浜市○○○○、○○○○

3.測定機器と設定

・普通騒音計 NL-22
周波数重み特性:A特性
時間重み特性:FAST
・解析周波数範囲:20Hz~16kHz
・データ表示:1/3オクターブバンド分析
サンプリングレート:10sec

4.測定結果

以下に測定現場内の各位置で測定された周波数毎の音圧をグラフに示す。また、それぞれのグラフにおいて特徴的な点について表記する。

4-1.浴場における測定結果

図:浴場内の各位置における音圧(dB)
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:分析周波数帯(Hz)
青:浴場中央付近
赤:浴場中央天井付近
緑:浴場中央排気口内
紫:浴場中央排気口内装置付近

・浴場内の音圧では630Hzの周波数帯において高い音圧が測定された。
・上記630Hzの周波数帯における音圧の最大値は浴場中央天井付近で計測された57.9dBであった。尚、浴場中央付近でも55.3dBと高い音圧が計測された。

4-2.浴場壁付近における測定結果

図:浴場内各壁付近における音圧(dB)
縦軸:音圧(dB)
横軸:分析周波数帯(Hz)
青:浴場電球付近
赤:浴槽中央壁付近
緑:浴槽洗面所側壁付近
紫:浴槽正面奥壁付近(電球の右側)

・上記630Hzの周波数帯における音圧の最大値は浴槽洗面所側壁付近で計測された48.4dBであった。尚、浴槽正面奥壁付近(電球の右側)でも45.8dBと高い音圧が計測された。

4-3.洗面所における測定結果

図:洗面所内各位置における音圧(dB)
縦軸:音圧(dB)
横軸:分析周波数帯(Hz)
青:洗面所中央
赤:洗面所排気口付近
緑:洗面所横廊下

・上記630Hzの周波数帯における音圧の最大値は洗面所中央で計測された52.5dBであった。尚、洗面所排気口付近でも47.7dBと高い音圧が計測された。

4-4.和室における測定結果

図:和室、ふすま前の各位置における音圧(dB)
縦軸:音圧(dB)
横軸:分析周波数帯(Hz)
青:A
赤:B
緑:C
紫:D
水色:E
オレンジ:F
※詳細は以下図1、図2

・上記は和室内のふすま前で行った測定の結果である。
・測定はふすまの手前、約1mの位置で、空間を6つのブロックに分け行った。
・和室、及びふすまの位置を以下の図1に示す。
・また、ふすま前の6つのブロックについては図2に示す。

図1.和室内、ふすまの位置(図内赤線部分)

図2.ふすま前各測定位置

・上記グラフにおける630Hzの周波数帯のみの音圧比較を以下に示す。


図.各位置における周波数帯630Hzの音圧
注)
縦軸;音圧(dB)
横軸:ふすま前各測定位置

・630Hzの周波数帯における音圧の最大値はAで計測された38.9dBであった。
また、次いで高い音圧はDにおける37.9dBであった。

5.結論

上記4-1測定結果において、騒音は630Hzの周波数帯における音圧であることが予想される。また、630Hzの周波数帯では浴室の排気口内における音圧が極端に低いことから、浴場の天井には騒音の発生源がないことが示唆される。
上記考察から行った4-2測定結果では、浴槽側の壁、特に洗面所側において高い音圧が測定され、次いで浴槽正面の壁となる。このことから、洗面所側での騒音発生が考えられる。
また、4-3測定結果において、洗面所内でも浴場と近似する値が測定されている。加えて、4-4測定結果からは浴場側より洗面所側で音圧が高いことがわかる。
4-1測定結果は反響による音圧の増幅が考えられ、また、4-3測定結果の洗面所中央の測定結果も反響によるものと考えるならば、最も信頼できると考えられるデータは4-3洗面所排気口及び、4-4測定結果となる。
上記をまとめると、騒音発生源は洗面所周りの壁に存在する可能性が高いといえる。尚、今回の測定対象宅と同様の問題が発生した例として、施工後、壁内にCD管が残されていたケースがある。この場合、太鼓張り現象と呼ばれる音圧の増幅現象が起きるため、上記測定結果は絶対のものではないことに注意する必要がある。

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