商業施設店舗等から発生する騒音に関する、普通騒音および低周波音の測定及び測定結果の解析

1.報告概要

○○○○のご依頼により、通常騒音計、低周波音レベル計による測定が行われ、音圧レベル、及びG特性音圧レベルの解析、各周波数帯における測定値の解析を行なった。

2.測定条件

2-1.測定日時
○○○○日から○○○○日
2-2.測定場所
大阪府○○○○1階
○○○○店舗内

3.測定機器と設定

■通常騒音計
・周波数重み特性:A特性
・時間重み特性:FAST
・サンプリングレート:1sec
■低周波音レベル計NA-18A
・周波数重み特性:G特性
・分析周波数範囲:1/3オクターブ分析
・時間重み特性:SLOW
・サンプリングレート:1min

4.測定結果

測定期間中の通常騒音計による測定結果、低周波音レベル計による測定結果を以下に示す。グラフの表示では測定結果を色として表している。
通常騒音計の測定結果においては、期間毎の瞬時値のグラフ、瞬時値最大値とその結果を得た時間、瞬時値が基準値を上回った期間の個数、等価騒音レベルを示している。尚、測定場所は第二種住居地域に属するため、その基準値は、
昼:6時~22時…55dB以下  夜:22時~6時…45dB以下 となる。
低周波音レベル計による測定結果においては、全期間のG特性音圧レベルのグラフ、G特性音圧レベル平均値、各期間における各中心周波数帯の等価騒音レベルと環境省による参照値との比較をグラフ、及び表にして表した。
※以下のグラフでは、:環境省による参照値としてグラフを表示している。
環境省によると、G特性音圧レベル平均値が92dB以上であれば、20Hz以下の超低周波による苦情の可能性が考えられるとされる。加えて、1/3オクターブ分析結果において、環境省による「低周波騒音による心身に係る苦情に関する参照値」と、「低周波騒音の物的苦情に係る参照値」との比較では、参照値を超える場合は低周波音による被害の可能性があるとされる。

4-1.全期間中の通常騒音計による測定結果
(○○○○日20:46:43から○○○○日7:40:00)

図.瞬時値(dB)の経時変化
※ 縦軸:瞬時値(dB)  横軸:時間

・全期間中の瞬時値最大値は○○○○日2:17:08の期間に測定された76.7 dB
であった。
・全期間中、基準値を上回る瞬時値は16262期間存在した。
・全期間中の等価騒音レベルは49.0dBであった。

4-2.全期間中の低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日20:46:43から○○○○日7:40:00)

図.G特性音圧レベル(dB)の経時変化
※ 縦軸:G特性音圧レベル(dB)  横軸:時間

・G特性音圧レベル平均値は69.5 dBであった。
・G特性音圧レベル平均値は92.0dBを超過していない。
・また、瞬間的にG特性音圧レベルが92.0dBを超過した期間も存在しない。

4-3.通常騒音計による測定結果
(○○○○日20:46:43から22:00:00)

図.瞬時値(dB)の経時変化
※ 縦軸:瞬時値(dB)  横軸:時間

・この測定期間中の瞬時値最大値は20:50:16の期間に測定された73.4 dB
であった。
・この測定期間の総数である3438期間中、基準値を上回る瞬時値は1210期間
存在した。
・この期間の等価騒音レベルは56.0dBであった。
・尚、この期間中に測定者が作業を行なった期間のデータは削除している。

4-4.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日20:46:43から22:00:00)
(心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた値は、環境省による「低周波騒音による心身に係る
苦情に関する参照値」を50Hz、63Hz、80Hzの周波数において超過している

4-5.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日20:46:43から22:00:00)
(物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた等価騒音レベルは、環境省による「低周波騒音の
物的苦情に係る参照値」をいずれの周波数においても超過していない。

4-6.通常騒音計による測定結果
(○○○○日22:00:00から○○○○日6:00:00)

図.瞬時値(dB)の経時変化
※ 縦軸:瞬時値(dB)  横軸:時間

・この測定期間中の瞬時値最大値は23:56:25の期間に測定された75.2 dB
であった。

・この測定期間の総数である28802期間中、基準値を上回る瞬時値は6089
期間
存在した。
・この期間の等価騒音レベルは45.5 dBであった。

4-7.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日22:00:00から○○○○日6:00:00)
(心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた値は、環境省による「低周波騒音による心身に係る
苦情に関する参照値」をいずれの周波数においても超過していない。

4-8.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日22:00:00から○○○○日6:00:00)
(物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた等価騒音レベルは、環境省による「低周波騒音の
物的苦情に係る参照値」をいずれの周波数においても超過していない。

4-9.通常騒音計による測定結果
(○○○○日06:00:00から12:00:00)

図.瞬時値(dB)の経時変化
※ 縦軸:瞬時値(dB)  横軸:時間

・この測定期間中の瞬時値最大値は11:46:45の期間に測定された67.7 dB
であった。
・この測定期間の総数である21602期間中、基準値を上回る瞬時値は388期間
存在した。
・この期間の等価騒音レベルは48.3 dBであった。

4-10.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日06:00:00から12:00:00)
(心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた値は、環境省による「低周波騒音による心身に係る
苦情に関する参照値」を40Hz、50Hz、63Hz、80Hzの周波数において超過
している

4-11.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日06:00:00から12:00:00)
(物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた等価騒音レベルは、環境省による「低周波騒音の
物的苦情に係る参照値」をいずれの周波数においても超過していない。

4-12.通常騒音計による測定結果
(○○○○日12:00:00から22:00:00)

図.瞬時値(dB)の経時変化
※ 縦軸:瞬時値(dB)  横軸:時間

・この測定期間中の瞬時値最大値は14:10:26の期間に測定された76.5 dB
であった。
・この測定期間の総数である36002期間中、基準値を上回る瞬時値は1587
期間
存在した。
・この期間の等価騒音レベルは50.1 dBであった。

4-13.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日12:00:00から22:00:00)
(心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた値は、環境省による「低周波騒音による心身に係る
苦情に関する参照値」を40Hz、50Hz、63Hz、80Hzの周波数において超過
している

4-14.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日12:00:00から22:00:00)
(物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた等価騒音レベルは、環境省による「低周波騒音の
物的苦情に係る参照値」をいずれの周波数においても超過していない。

4-15.通常騒音計による測定結果
(○○○○日22:00:00から○○○○日06:00:00)

図.瞬時値(dB)の経時変化
※ 縦軸:瞬時値(dB)  横軸:時間

・この測定期間中の瞬時値最大値は02:17:08の期間に測定された76.7 dB
であった。
・この測定期間の総数である28802期間中、基準値を上回る瞬時値は6880
期間
存在した。
・この期間の等価騒音レベルは47.4 dBであった。

4-16.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日22:00:00から○○○○日06:00:00)
(心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた値は、環境省による「低周波騒音による心身に係る
苦情に関する参照値」をいずれの周波数においても超過していない。

4-17.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日22:00:00から○○○○日06:00:00)
(物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた等価騒音レベルは、環境省による「低周波騒音の
物的苦情に係る参照値」をいずれの周波数においても超過していない。

4-18.通常騒音計による測定結果
(○○○○日06:00:00から07:40:00)

図.瞬時値(dB)の経時変化
※ 縦軸:瞬時値(dB)  横軸:時間

・この測定期間中の瞬時値最大値は06:43:20の期間に測定された64.2 dB
であった。
・この測定期間の総数である6002期間中、基準値を上回る瞬時値は108期間
存在した。
・この期間の等価騒音レベルは48.0 dBであった。

4-19.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日06:00:00から07:40:00)
(心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた値は、環境省による「低周波騒音による心身に係る
苦情に関する参照値」を50Hz、80Hzの周波数において超過している

4-20.低周波音レベル計による測定結果
(○○○○日06:00:00から07:40:00)
(物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)

図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※縦軸:等価騒音レベル(dB) 横軸:中心周波数(Hz)


表.物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベル

・この測定により得られた等価騒音レベルは、環境省による「低周波騒音の
物的苦情に係る参照値」をいずれの周波数においても超過していない。

5.結論

 G特性音圧レベルのグラフ、及び平均値を結果4-2に記載したが、期間中の平均値は92dBを超過していない。また、「低周波騒音の物的苦情に係る参照値」をいずれの周波数においても超過していない。しかし、「低周波騒音による心身に係る苦情に関する参照値」を複数の周波数帯で超過しているため、当該測定場所では低周波音により心身に係るなんらかの悪影響を及ぼし得るといえ、心身に被害を与え得る低周波音、いわゆる低周波騒音が発生しているといえる。
また、通常騒音計の測定結果より、多数の期間で瞬時値が基準値を超えていることが確認できる。これらの値は環境基本法における騒音に関する環境基準を大きく超えるものであり、受忍限度を超えるものである。

6.受忍限度の根拠

6-1.環境基本法・環境基準
●騒音に係る環境基準 (H10.9.30環境庁告示第64号、H12.3.31東京都告示第420号))
6-2.参照値の根拠

●環境省の定めた「低周波騒音による心身に係る苦情に関する参照値」「低周波騒音の物的苦情に関する参照値」より
7-3.判例
東京地裁  平成6.5.9 判例時報1527号116 .
東京地裁 昭和 63.4.25 判例時報 1274号-49
甲府地裁都留支部昭和63・2・26(判例時報1285号119)
京都地裁平成4・11・27(判例時報1466号126~)
福岡高裁那覇支部平成22・7・29(判例時報2091号162)

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