振動の法令規制基準値と大きさの目安

振動にはどのような規制・法律があるか

振動を規制する法令には大きく分けると「振動規制法」と各地方自治体が独自に定めるもの(たとえば東京都の場合、環境確保条例による規制)があります。振動規制法は、工場や事業場、建築工事における振動について規制を行うとともに、道路交通振動にかかわる要請限度を定めることによって、一般生活者の生活環境を保全し、国民の健康保護することを目的としているものです。逆に言えば、これらの要請限度を超えていたり、規制を逸脱する行為は「健康に被害をもたらし、平穏な生活環境を阻害する」ということができます。なお、規制基準の抽象的な地域や、基準値の範囲は国が公示しますが、具体的な地域指定や、基準値に範囲のあるものについては地方自治体が値を定めます。

振動の目安は:何デシベルがどの程度の揺れなのか

振動規制において、規制値や要請限度はデシベルという単位で示されています。それぞれのデシベルがどの程度の振動の大きさを示すのかをまとめたものが下記の表です。

デシベル

代表的な目安

人の体感・行動

屋内の状況

屋外の状況

110
デシベル

・震度7

立っていることができず、這わないとはわないと動くことができない。揺れに翻弄され、動くこともできず、飛ばされることもある。

壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる。補強されているブロック塀も破損するものがある。

 

108
デシベル

・震度6強

壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。

 

105
デシベル

・震度6弱

立っていることが困難になる。

壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。

固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある。

100
デシベル

・震度5強

大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。

窓ガラスが割れて落ちることがある。補強されていないブロック塀が崩れることがある。据付けが不十分な自動販売機が倒れることがある。自動車の運転が困難となり、停止する車もある。

棚にある食器類や書棚の本で、落ちるものが多くなる。テレビが台から落ちることがある。固定していない家具が倒れることがある。

95
デシベル

・震度5弱

大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。

まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。道路に被害が生じることがある。

電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。

85
デシベル

・震度4
・バイブロハンマ(7m)
・油圧パイルハンマ(7m)

ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。

電線が大きく揺れる。自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる。

電灯などのつり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が、倒れることがある。

75
デシベル

・震度3
・振動規制法特定建設作業規制値
・ブルドーザ(5m)
・振動ローラー(5m)

屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。歩いている人の中には、揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が、目を覚ます。

電線が少し揺れる。

棚にある食器類が音を立てることがある。

70
デシベル

・振動規制法第二種地域昼間の規制値上限値
・大型ブレーカ(7m)

 

 

 

65
デシベル

・震度2
・バックホウ(5m)
・アースドリル(5m)
・機械プレス(5m)

屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。

 

電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。

60
デシベル

・振動規制法第一種区域昼間規制値下限値

 

 

 

55
デシベル

・震度1
・アースオーガ(5m)
・振動規制法第一種区域夜間規制値下限値

屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。

 

 

45
デシベル

・震度0(人は揺れを感じない。)
・一般の道路

人は揺れを感じないが、地震計には記録される。

 

 

振動規制法では工場・工事・道路からの振動についてについて基準が定められている

振動規制法では対象の振動ごとに3つの規制基準と基準値があります。それぞれの規制について法律で定められているもの(全国一律)と例として東京都の事例(道路規制を除く)を下記にて紹介いたします。

振動規制法、特定工場等における規制基準値(都道府県に依らない法律)

区域/時間

昼間 

夜間

第1種区域

60~65 デシベル

55~60 デシベル

第2種区域

65~70 デシベル

60~65 デシベル

■第1種区域…良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域及び住民の用 に供されているため、静穏の保持を必要とする区域
第2種区域…住居の用に併せて商業、工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住 民の生活環境を保全するため、振動の発生を防止する必要がある区域及び主として 工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を悪化させ ないため、著しい振動の発生を防止する必要がある区域
■昼間とは、午前五時、六時、七時又は八時から午後七時、八時、九時又は十時までとし、夜間とは、午後七時、八時、九時又は十時から翌日の午前五時、六時、七時又は八時までとする。

特定工場等における規制基準値(東京都の場合)

当てはめ地域

昼間

夜間

8時~19時

19時~8時

第1種区域

・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・第1種中高層住居専用地域
・第2種中高層住居専用地域
・第1種住居地域
・第2種住居地域
・準住居地域
・用途地域の定めのない地域

60デシベル

55デシベル

第2種区域

・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
・前号に接する地先及び水面

65デシベル

←20時
60デシベル

学校、保育所、病院、診療所(有床)、図書館及び特別養護老人ホームの敷地の周囲おおむね50mの区域内における規制基準は、当該各欄に定める当該値から5デシベルを減じた値とする。測定器の指示値が変動せず、又は変動が少ない場合は、その指示値とする。測定器の指示値が周期的又は間欠的に変動する場合は、その変動ごとの指示値の最大値の平均値とする。測定器の指示値が不規則かつ大幅に変動する場合は、5秒間隔・100個又はこれに準ずる間隔・個数の測定値の80パーセントレンジの上端の数値とする。

特定建設作業に伴って発生する振動の規制に関する基準(都道府県に依らない法律)

規制の種類/区域

第1号区域

第2号区域

振動の大きさ

敷地境界線において75デシベルを超えないこと

作業時間帯

午後7時~翌日午前7時に行われないこと

午後10時~翌日午前6時に行われないこと

作業期間

1日あたり10時間以内

1日あたり14時間以内

連続6日以内

作業日

日曜日、その他の休日でないこと

第1号区域…

● 良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域
● 住居の用に供されているため、静穏の保持を必要とする区域
● 住居の用に併せて商業、工業等の用に供されている区域であって、相当数の住居が集合しているため、振動の発生を防止する必要がある区域
● 学校、保育所、病院、患者の収容施設を有する診療所、図書館及び特別養護老人ホームの敷地の周囲おおむね80mの区域内
第2号区域…  指定地域のうち第1号区域以外の区域

特定建設作業に伴って発生する振動の規制に関する基準(東京都の場合)

指定建設作業

基準値

くい打設作業

圧入式くい打機、油圧式くい抜機を使用する作業又は穿孔機を使用するくい打設作業

70
デシベル

びょう打等作業

 

破砕作業

ブレーカー以外のさく岩機を使用する作業

掘削作業

ブルドーザー、パワーショベル、バックホーその他これらに類する掘削機械を使用する作業(*2)

締固め作業

振動ローラー、タイヤローラー、ロードローラー、振動プレート、振動ランマその他これらに類する締固め機械を使用する作業(*2)

70
デシベル

空気圧縮機を使用する作業

空気圧縮機(電動機以外の原動機を用いるもので原動機の定格出力が15kw以上)を使用する作業(さく岩機として使用する場合を除く。)

65
デシベル

建設物の解体・破壊作業

動力、火薬を使用して建築物その他の工作物を解体し、又は破壊する作業

75
デシベル

*2 作業地点が連続的に移動する地点にあっては、1日における当該作業に係わる2点間の最大距離が50mを超えない作業に限る。
*3 作業地点が連続的に移動する地点にあっては、1日における当該作業に係わる2点間の最大距離が50mを超えない作業に限り、さく岩機、コンクリートカッター又は掘削機械を使用する作業を除く。

道路交通振動における要請限度(都道府県に依らない法律)

規制の種類/区域

昼間

夜間

第一種区域

65デシベル

60デシベル

第二種区域

70デシベル

65デシベル

第1種区域…良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域及び住民の用 に供されているため、静穏の保持を必要とする区域
第2種区域…住居の用に併せて商業、工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住 民の生活環境を保全するため、振動の発生を防止する必要がある区域及び主として 工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を悪化させ ないため、著しい振動の発生を防止する必要がある区域
ただし、都道府県知事(令第5条に規定する市にあっては、市長)、道路管理者及び都道府県公安委員会の協議により学校、病院等特に静穏を必要とする施設の周辺の道路における限度は表に定める値以下、当該値から5デシベル減じた値以上とし、特定の既設幹線道路の区間の全部又は一部における夜間の第1種区域の限度は、夜間の第2種区域の値とすることができます。

説明の補足

■特定工場・事業場とは下記のような特定施設を有する工場や事業場のこと

1 金属加工機械(液圧プレス(矯正プレスを除く)、機械プレス等)
2 圧縮機(原動機の定格出力が7.5kW以上のものに限る)
3 土石用又は鉱物用の破砕機、摩砕機、ふるい及び分級機(原動機の定格出力が7.5kW以上のものに限る)
4 織機(原動機を用いるものに限る)
5 コンクリートブロックマシン(原動機の定格出力の合計が2.95kW以上のものに限る)並びにコンクリート管製造機械及びコンクリート柱製造機械(原動機の定格出力の合計が10kW以上のものに限る)
6 木材加工機械(ドラムバーカー、チッパー(原動機の定格出力が2.2kW以上のものに限る))
7 印刷機械(原動機の定格出力が2.2kW以上のものに限る)
8 ゴム練用又は合成樹脂練用のロール機(カレンダーロール機以外のもので原動機の定格出力が30kW以上のもに限る)
9 合成樹脂用射出成形機
10 鋳型造型機(ジョルト式のものに限る)

■振動規制法における特定建設作業とは下記のような作業をさす

① くい打機(もんけん及び圧入式くい打機を除く。)、くい抜機(油圧式くい抜機を除く。)又はくい打くい抜機(圧入式くい打くい抜機を除く。)を使用する作業
② 鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業
③ 舗装版破砕機を使用する作業(作業地点が連続的に移動する作業にあっては、1 日における当該作業に係る 2 地点間の最大距離が 50m を超えない作業に限る。)
④ ブレーカー(手持式のものを除く)を使用する作業(作業地点が連続的に移動する作業にあっては、1 日における当該作業に係る 2 地点間の最大距離が 50mを超えない作業に限る。)

 

振動のによる心身への影響については>>こちらのページもご覧ください

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