購入した物件の遮音性能と防塵性能に不備があるとする損害賠償請求が認められなかった事件

判決

・原告の請求を棄却
・訴訟費用は全て原告の負担

事実

・原告は物件(マンション)購入者
・被告らはマンションの建築、販売をしている会社
※原告は以前、上記物件について損害賠償を求める訴訟を提起したが請求を棄却され、その控訴審においても控訴が棄却された。

騒音調査の結果

上記物件における、音圧レベルの最大値は、
・玄関:34.3dB
・廊下:30.5dB
・玄関横洋室:32.6dB
・廊下横洋室:24.3dB
振動加速度レベル※の最大値は、
・玄関:56.6dB
・廊下:42.1dB
・玄関横洋室:51.1dB
・廊下横洋室35.8dB
であった。
※振動加速度レベル:一般に人間が全身で感知できるとされる周波数範囲(1 ~80Hz)の値を対数表示したもの。

原告の主張

・被告はパンフレット等において、極めて良質な遮音性能を有していると主張していた。
・本件建物に上記を満たす遮音性能があることが本件売買契約の内容となっていた。
・入居後は隣や階下の区分所有建物から子供の走る足音等が頻繁に響いてくる。
・静ひつな生活環境が妨げられるようになった。
・遮音性能について検査を実施した結果、上記遮音等級を満たさないことが判明した。
・本件建物の床及び壁の構造や施工に欠陥があるといえる。
・本件建物は、モーター、コンプレッサー等による低周波音の振動音が発生している。
・夜間は安眠できる状況にない。
・黒い塵埃が本件建物内に常時どこかから流入しているため、健康被害のおそれがある。
・瑕疵の主張は、前訴のむし返しでないから、信義則に反するものでもない。
・損害賠償及び瑕疵担保責任として6723万円及び支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

被告らの主張

・パンフレット等は、極めて良質な遮音性能を有することを約束したものではない。
・遮音性能があることが本件売買契約の内容となっていたことは否認する。
・原告の遮音性能検査の結果は、特に遮音性能が劣ることを示すものではない。
・低周波音の振動音は、検査の結果、発生を確認できなかった。
・塵埃は、植物組織など戸外の浮遊物であり、健康に被害を及ぼすものではない。
・原告の主張は前訴のむし返しであり、信義則に反し、許されない。
・売買契約上の瑕疵担保責任は成立しない。

裁判所の判断

・パンフレット等記載の性能基準が本件売買契約の内容となっていたことは認められる。
・パンフレット等の記載で遮音性能を保証したものであると認めることはできない。
・パンフレットと異なる工法を採った証拠はないから、原告の瑕疵を認める余地はない。
・原告の遮音性能の瑕疵に基づく損害賠償請求は前訴判決に抵触し、許されない。
・原告は遮音性能に関する瑕疵は、前訴においても主張していない。
・前訴以前から原告が主張する塵埃が生じていたと認めるに足りる証拠はない。
・原告は塵埃がいかなる瑕疵に起因して生じたものか具体的な主張をしていない。
・塵埃に関する主張自体失当といわざるを得ない。
・原告の主張は実質的に前訴のむし返しという性格が強いというべきである。
・原告の主張を許すことは、被告の地位を不当に長く不安定な状態に置くものである。
・測定結果を評価すると、いずれの測定箇所でも適正といえる。
・原告の本件請求は、いずれも理由がないことになるため、これらを棄却する。

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