地下ライブハウスからの騒音と振動による不法行為が認められた事件

判決

・被告らは原告に100万円、及び支払済みまで年5分の割合の金員を支払うこと
・訴訟費用は1/7が被告らの負担

事実

・原告はビル1階で飲食店を経営していた。
・被告らはビル地下でライブハウスを経営していた。

騒音調査の結果

騒音計による測定により、騒音は最大で約73dB発生していることがわかった。
低周波音の測定により、被告店舗の営業中に原告店舗において、63Hzの周波数で約20dB、80Hzの周波数で約30dB以上、通常時を超える音圧が発生していることがわかった。

原告の主張

・深夜まで地下から騒音、低周波音による振動の被害を受け、客が寄り付かなくなった。
・被告らに被害を忠告すると、音量がより大きくなった。
・原告店舗の営業活動を不法に侵害し、利益を損ね、著しい肉体的精神的苦痛を与えた。
・調査会社の報告書を提示し、防音防振工事を求めたが、行われていない。
・騒音、振動の被害により店舗を閉店しなければならなくなった。
・条例の定める基準値を上回る騒音、振動を発生させ、それらは受忍限度を超える。
・不法行為による損害の賠償として748万9901円、及び内448万9901円に対する支払済みまで年5分の割合による金員の支払いを求める。

被告らの主張

・原告の店舗で低周波音による振動、騒音が発生していたことは全て否認する。
・深夜に及ぶ営業は行なっていないし、騒音の防止にも努めていた。
・調査会社の報告資料は、客観性や妥当性に欠けること、調査時間が短いこと、その他の諸々の要因により否認する。
・防音工事を繰り返したことにより、騒音、低周波音は軽減されたはずである。
・受忍限度を超える騒音を発生させていたことは故意、過失を含め認めない。
・不法行為を行なっていない以上、損害賠償を支払う根拠がなく、これを認めない。

裁判所の判断

・調査結果は十分に客観性、信用性の高いものといえる。
・原告の被害は調査結果からも認められ、それを覆す客観的な証拠はない。
・深夜まで騒音が発生していたという客観的証拠はない。
・証人によれば、騒音及び震度2の地震に相当する程度の振動があったといえる。※1
・被告らによる防音、防振工事の事実は認められる。
・工事は被告ら店舗のスタッフにより行われていたため、適切であったかが疑わしい。
・工事による被告らの騒音の抑止を断定できない。
・被告らが原告店舗へ配慮した営業を行なっていた事実は認められるが、原告店舗では基準値を上回る相当数の騒音、振動が発生し、それらは受忍限度を超えていたといえる。
・原告店舗では、客から騒音と振動による苦情があった事実も認められる。
・原告が損害を被った事実は認められ、被告は不法行為責任を負うといえる。
・ただし、賃貸人には契約の強制解除が行えるため、賃貸人が措置を取らず放置したことで被告らの不法行為を構成したということもできる。※2
・また、原告と被告らの店舗の営業時間は全てが重なってはおらず、原告の損害は両者の営業時間が重なっていた時間の程度である。
・原告が賃貸人へ店舗を明け渡すことを告げた時期からは、原告自身による営業の自粛、及びこれによる売上減少も考えられる。
・原告店舗の売上減少には景気の下降傾向も影響したと考えられ、損害の全てが被告らによるものであったとは考えにくい。
・以上から被告は原告に対して慰謝料として100万円、及び支払済みまで年5分の割合の金員を支払うことが相当である。
※1.証人:原告の依頼で調査を行なった調査員
※2.賃貸人:被告に部屋を貸していた物件所有者

低周波音とは
法人・事業所・各種団体様
騒音訴訟と判例 騒音トラブル事件簿

リンク

リンク

問い合わせリンク